オーストラリア 結婚の平等に関する国民投票
こんにちは。
すっかり寒くなりましたね。
先日オーストラリアの映画、『ゲイビーベイビー』の上映会を開催しました。(LGBTQの親に育てられる子供の姿を追ったドキュメンタリー)
当日は60名以上の方にご来場いただき、監督からのビデオメッセージの再生や、トークショーでは色々な体験談、意見が交わされ、会場の方からも、来てよかったとの声を多くいただきました。
《上映会の様子》
そんな矢先に、オーストラリアの結婚の平等性を問う国民投票の結果が出ました。
結果は賛成が61.6%反対が38.4%、賛成多数の結果となりました。
元々国民投票をして、民意を問うという事も日本ではなかなか考えられないですし、郵送による投票というのも、すごい。
日本であれば「不正が行われる可能性が高い」「コストがかかる」など、できない理由ばかりが列挙される状態が、想像に難くありません。
実際の法改正が施行されるまでは少しかかると思いますが、長くこの日を待ち望んでいたオーストラリアの方にとっては記念すべき日となったことと思います。
《写真はメンバーの結婚式より》
それにしても、「同性婚」というよりは「結婚の平等」という言葉が使われていることについては、とても好感を持ちます。
同性婚に対する法改正というとどこか今までなかったものを新しく作る、という響きがありますが、結婚の平等のための法改正と言うと、今まであったものの中に、除外されていた人を含めるといったニュアンスになる気がするのです。
もちろんここで大事なのは結婚ができる事もそうですが、
結婚するかどうかを選ぶ権利がある事なのだと思います。
映画「ゲイビーベイビー」の中で
LGBTQの親に育てられているゲイビー達は、法律が無くても、自分で考えながら、親のセクシャリティに関係ない部分を多くに持ちながら日常を過ごしていました。
けれども、子供に対しても(大人に対しても)
「法律で認められている」という説明ができる事、又その事実は非常に大きな後ろ盾となる事だと思います。
日本でその日が来るのは、少なくとももう少し先の話になるでしょう。
だからそれまではせめて、人同士が繋がっていれたら、繋がっていけたらと思うのです。
《写真はメンバーの結婚式より》
子育て支援施設で働く方へのインタビュー
日々生活をしていると、同じような毎日を過ごしているうちは、出会わなかった世界も、冠婚葬祭、転職などで今まで知らなかった世界に出会うことも少なくありません。
特に子どもが生まれた後に触れる世界は、子どもがいなかった世界とはまるで違うものだと思います。
今回は、ひょんなことから子育て支援施設で働く方との出会いがあり、簡単ではありますが、少しお話を聞いてみました。
※お話はあくまで働いている方としての一個人としての感想や意見をお聞きしております。
<イメージ>
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―そもそも子育て支援施設というのは、どういったものなのでしょうか?
私が働いている場所はNPO法人が市から助成金を受けて運営しています。
0-6 歳の子供とその保護者向けに居場所を作ったり、遊ぶ場所を提供したり、友達を作ったり、講座を開催したり、親子で過ごす居場所事業をしています。
―親子の為の居場所事業。いてもよい場所、行ってよい場所が自宅意外にあると言うのは心強い限りです。
―具体的にはどのような感じで、どのようなことをしているのでしょうか?
普段は子供用の安全なおもちゃが施設にあり、時間内に自由に来て遊べるスペースになっています。
3 人くらいのスタッフがいて、一緒にお話ししたり、来ていらっしゃる方の間をつないだりといったことをしています。
不定期に開催する講座では、保育士さんや、助産師さんに来ていただいて、相談があれば話ができますといったものや、ベビービクス、ピラティスなどの運動の講座も行っています。
―助産師さんがいらっしゃると言う事は産前の方のための講座なのでしょうか?それとも産後ケアの話なのですか?
基本的には産後のケアが多いですが、年に何度かこれから産む方の方に向けた講座や、既に出産を経験した先輩ママに相談ができるようなイベントもあります。
後、わたしの施設では、チャリティーコーナーがあって、ベビー服などがあるので、
それを見に産前の方がいらっしゃることはあります。
―なるほど。では、普段の来所者は基本的には産後、お子さんがいらっしゃることが多いということですね。
そうですね。ほとんどが、お子さんがすでにいらっしゃる方で、且つ、おかあさんとお子さんでいらっしゃる方、おじいちゃん、おばあちゃんといらっしゃる方もいます。それはわたしが働いている施設が平日のみと言う事もあって、他の土日も開いているところだと、おとうさんがお子さん連れでいらっしゃることもあります。
―子供が生まれる前に見学などに行くことは出来るのでしょうか?
もちろんできます。ただ、お子さん連れで遊びに来る方がほとんどなので、どういった目的でいらっしゃったかなどはお聞きする場合はあるかと思います。
<イメージ>
―利用料はかかりますか?
わたしがいるところはかかりませんが、一度の利用で100 円や年間でいくら、などの利用料を取るところも他の施設ではあるみたいです。
―今いらっしゃる職場でLGBTなどの話題がでたことはありますか?
又、実際にお父さんが二人、お母さんが二人といった状況に直面した場合どのようになると考えられますか?
正直話題に出たことも聞いたこともないです。
又施設に来られる方も、大体お母さんとお子さんといった感じなので、その他に家族構成だったり、そういったプライバシーにかかわる部分に踏み込むことも少ないので、当事者であるかなどは見えづらいと思います。
もしも同性カップルの親御さんが来所した場合、初めはいままでないことに「おやっ?」という疑問があるかもしれませんが、そこまで大きい問題になるとはあまり思えません。
ただ、他の利用者に関しては正直わかりません。対応に困る方もいると思います。そういった事態を考えたこともない方も多いと思います。
産後の方の中には、「そこまで反応しなくても」といった方もいらっしゃいますし、
―今の現場で実際にそういったことがあったらどう対処されると思いますか?
私がいる施設はスタッフ同士が比較的話し合いが良くされている現場なので、うまくやっていくにはどうしたらよいかと言う事が話合われるのではないかと思います。
そのうえでもLGBTだからこそ特別に問題になるということはあまり想像できませんね。
<イメージ>
―すでにお子さんがいらっしゃって、行くのを躊躇っている方がいたとしたらどういった声をかけますか?
きて一緒に話そうよっておもいます。交流しようよって。
全く違う世界に生きているわけではないですし。
10 数名のスタッフがいるので、私じゃなくてもきっと話があう人もいると思うので、
もしも、来てくれたら一緒に話せるのではないかと思います。
セクシャリティに関係なく初めはやっぱり皆緊張して来ます。
だから、そこは気にせず、是非広場で会いたいなと思います。
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施設によっても環境の差はあるかと思いますが、親子を応援する子育て支援施設は
親子連れの強い味方になってくれる施設だと思います。
既にお子さんがいらっしゃる方の中でも利用している、したことがあると言う方も多いと思います。
もしも、「あるのは知っているけど、行こうか迷っている」という方は、雰囲気を見るだけでも覗きに行ってみてもよいかもしれません。
どこにあるのかわからない、知らないと言う方も、お住いの近くにきっとありますので、一度調べてみてはいかがでしょうか。
インタビューに応じて下さったTさん、貴重なお話有難うございました!!
any seaでは今後実際の施設の訪問も行う予定です。
こんなことが知りたいなど、ありましたら是非 info@anysea.netまでご連絡ください。
会社の決まりとか
こんにちは。
すっかり汗が止まらない季節となりましたがいかがお過ごしですか?
実は先日、義父が亡くなりました。
義父とはいっても法律上は結婚などできないため、役所の上では繋がりがありません。
それでも結婚式にもきてくれて、わたしのことを「娘」として可愛がってくれた義父。まだまだこれから人生の先輩として教わりたいこともあった最中、本当に悲しく、残念でなりません。
それでも日常は押し寄せてきます。
通常であれば、忌引きを取れる場面、
いずれにせよ会社を休むにあたっては届けが必要。
実は前回、結婚式にあたり、特別休暇の申請をしたのですが、会社をではまだまだ体制が整っておらず、直属の上司は懸命に交渉してくれたものの、結局認められなかったと言う過去があります。
ちなみにわたし自身は会社ではセクシャリティを特に隠しておらず、自分から積極的にカミングアウトはしてませんが、聞かれれば答えるし、特に隠してない状況です。
さて、前回の申請から2年がたった今、望みは薄いものの、とても大切な場面、再度会社に申請を出しました。
結論からいうと、今回も申請は認められませんでした。
しかし、前回と違うことは、非常に前向きな回答があったということです、
それは、
「会社でも多様性を尊重して、すべての人が働きやすい環境を作っていくことが必要だと考えている」
ということ
また
「できる限り来年の4月に改定ができるように進めていきたい」
というものです。
実際に変わるかは、まだわかりませんが大きな一歩だと思いました。
各首長に対して自治体として、LGBT の対応に関するアンケートの結果が掲載されていました。
興味深かったのは、「住民から要望があれば検討したい」という回答が複数あったこと。
つまり、要望が出なければ、認知されなければ検討も始まらないということです。
声をあげることは、エネルギーも必要で、時にリスクを伴います。
けれども声をあげれば、今回のように動かないと思っていた山が動くこともあるのだと思いました。
少しずつこういう会社が増えれば、
少しずつ社会の常識も変わっていく
そんな可能性がとても嬉しい出来事でした。
そんな機会までくれた義父に
改めて感謝しています。
全米アジア・太平洋諸国クィア連盟 (NQAPIA) インタビュー その3
-お二人のご両親は養子縁組についてどう思いましたか?
クリス:
母にカミングアウトすると私のことを受け入れてくれましたが、孫のいるおばあちゃんになれるとはおもっていなかったようです。
-確かに、日本でもLGBTであることで、子どもを持てないと思っている人は当事者でも多いと思います。
クリス:
母は養子の話をしたらとても喜んでくれました。マルコムは母の初孫でありながら唯一の孫です。実は、わたしには弟がいますが、ゲイでシングルなので(笑)
グレン:
私の場合、親へのカミングアウトは15年かかりました。実際コミットメントセレモニー(同性婚が認められる前にあった式)の時に母は来ませんでした。逆に父の方は来たがっていました。そして母は披露宴の方には来ました。子供が欲しいというと、母は黒人の子は血が繋がってないから他の孫と同じ扱いは出来ないと言いましたが、病院からマルコムを連れて帰ると喜んでくれました。マルコムは母にとっての5番目の孫です。
‐初孫だったクリスさんの親御さんと、五番目の孫だったグレンさんの親御さん。
人種のことを含めて、親御さんも又また違った環境で、同じ子供の事でも受け入れ方もそれぞれやはりかなり違うものですね。
日本でもよく、親は孫を見たらかわいくて仕方がなくなる、反対していても、産んでつれていったら目尻が下がると話を聞きます(笑)
-お二人を含めて、 LGBTQが子供を持つことについてどう思いますか。又実際に当事者としてお子様がいらっしゃる場合、生活していく上で、困ったことなどはありますか。
グレン:
私達はニューヨークに住んでいることで、とても運が良いほうだと思います。周りにも様々な形の家族がいるのでゲイカップルであっても、それ程問題はないです。でも頻繁に子どもの母親の居場所を聞かれることがあります。
-子どもを見たら母親をつなげて考えるという部分は、まだまだあるのですね。
グレン:
そして私達が異なる人種であるという問題もあります。アメリカでも白人とアジア人の子どもが黒人なのが奇妙だと思われます。アメリカでは養子をもらう側にとって一番望ましいのが白人、次に黒人の女の子、そして最後に黒人の男の子です。これは黒人の男性は暴力的だというステレオタイプがまだまだ根深いイメージとして残っているためです。アジア系のティーンは妊娠することがあまりないのでアジア人の子どもはあまり養子に出されることがないです。
-様々な人種が暮らしているアメリカならではの視点ですね。人種によって子どもが区別されるのも、日本ではなかなか想像ができないことですね。
日本で同性カップルが養子をもらうことに関して強く反対する声に関してはどう思いますか?
グレン:
日本人に対して上から物を言うアメリカ人にはなりたくないので、ちょっと言いがたいですが、日本には独特の価値観があり、その価値観によってこれほどまでに強い国になったと思うのですが、同時にマジョリティーに属していない方にとっては大変な国だと思います。
同性愛者による養子縁組はアメリカでも20年ぐらいの歴史しかないです。同性婚はありますけど差別を受けない自由は無かったりします。例えば日曜日に結婚式を行ったレズビアンが月曜日に同性愛者という理由で会社をクビになったこともあります。これも合法です。養子をもらえなかったり、養子縁組の申し込みに苦労する州も未だに存在します。
でも一番大事なのは全ての人々がセクシュアリティやジェンダーアイデンティティーに関わらず自分らしく生きることです。全ての人に好きな人と結婚をして、家庭を持つ選択肢があるべきです。
-同性婚が合法であって、又性的マイノリティであることを理由に解雇することもまた合法である。なかなか衝撃的な話です。違法であるかどうかと、人がどう思うか。いかにその二つが同じでないかがわかります。自由の国アメリカでさえ、又アメリカだからこそ、どちらの意見の尊重されるのかもしれないですね。
それでは子どもを持っているLGBTQの家族に対してメッセージをお願いします。
グレン:
現在、子どもが赤ちゃんなら今を楽しんで下さい、今のうちだから(笑)
ティーンならいま我慢すればいつかは良くなると言いたいです。
親は強くても、子供にはサポートが必要です。子供は親のことは聞かないけど他の子供の言葉には傾けるので様々な人と繋がりを持ちましょう。
最後に子どもを持ちたいと思っているLGBTQに対してメッセージをお願いします。
クリス:
(子供を持っている立場として)子どもを持つ価値はあると思います。
グレン:
(難しいことは多いかもしれないけど)きっと大丈夫、できます。
わたしは、子どもを持ってから今まで以上に幸せだったことがないです。
家庭をもってパートナーがいて、仕事があって、子どもがいて、日本のような美しい国に家族旅行にもこれますしね。
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クリスさんとグレンさんの間で、ゲームをして遊んだりスナックを食べるマルコム君。その姿はあたり前ですが、その辺にいる10歳の子が親といる姿と、何ら変わりありませんでした。
子どもが欲しいと思うこと、又、子供を育てたいという精神は、セクシャリティが何であっても、性別がなんであっても、国籍や人種が何であっても変わらないことを改めて感じました。もちろん、そこに至るまで、また子供ができてから起こる課題、LGBTQだからこそ直面することも出てくると思います。
特に日本ではLGBTQに関する法整備は進んでいるとは全く言えないため、
子どもを持つまでのハードルは決して低いとは言えない状況です。
改めて日本の遅れを感じるとともに、幸せそうな家族の姿をみて、子どもが欲しい人が子供を持つことが、もっとより身近で、最終的に持てるかどうかはわからなくても、その選択できることが自然であるべきだと思いました。
お話を聞かせて下さったグレンさん、クリスさん、マルコム君、マーシャさん、アヤさん、本当にありがとうございました。
全米アジア・太平洋諸国クィア連盟 (NQAPIA) インタビュー その2
-グレンさん以外の方も自己紹介をお願いします。
マーシャ:
私はトランスジェンダーの息子の母です。15歳の時にレズビアンだとカミングアウトされ、その 5年後に FtM だと言われました。トランスジェンダーだとカミングアウトされてからは、息子の為に世界を安全にする必要があると強く考えるようになり、活動家になるために仕事を辞めました。私はこれまでの生きてきた道についての本を書き、南カリフォルニアにアジア・太平洋諸国出身者の為の LGBT 家族の会を設立しました。 私と息子は LGBT 当事者と家族に最初は大変でも最終的には幸せになれることを伝える為に一緒に公演をしています。今では息子がカミングアウトをしてくれたことに対して、家族が経験してきたことに対して、すごく感謝をしています。
アヤ:
アヤです。
私の娘は全米的に同性婚が認められる直前に結婚をしました。私は元々娘のセクシャリティが何であっても大丈夫だという風に言ってきて育てたので、カミングアウトされた時もさほど驚かなかったし、娘からしたらそっけなかったかもしれません。私自身はアメリカと日本の結婚の形態の大きな違いは戸籍だと感じています。
娘は日本とアメリカのパスポートを持っていますが、
通常結婚すると日本に届けなくてはいけないけど実はまだしていません。
どのような形で届け出を出せるのかも正直わかってません。
日本の戸籍は昔からの家父長制的なものを受け継ぎ過ぎているので、アメリカのように「伴侶」ではなく、「妻、夫」という形が決まっている日本の結婚制度の中で、今後日本の同性婚の家族の形態についてもっと考えないとダメだと思っています。
家族という形を考えずに同性婚をするのはどうなのか、一遍にやってしまった方がいいのか、正直どうなのかわからないとおもっています。
クリス:
グレンと結婚していて、グレンと同じように弁護士をしています。
グレンと一緒に子供を育てています。
同性婚のあるアメリカでも男親二人で道を歩けば周りの人から変わった眼で見られることがあります。男親だから、何もわからないと言う様にみる人もいます。同性婚のおかげで権利はあるけどそれは始まりであり、全てではないと思います。子供がいると他の親と同じで、カップルとしての会話も子供が中心で、何を食べたか、学校でどうしていたかなど、子どもが日常の全てになりました。とてもありきたりの生活をして、息子第一に考えています。
(マルコム君に向かって) 自己紹介する?
マルコム君(グレンとクリスの息子):
僕は電車が好き、東京ではゲーセンが一番楽しかった。男親二人に関してオッケーな感じ。(グレンはパパ、クリスはダッドと呼び方を分けています)
-立ち入った質問になりますが、マルコム君はどのようにお二人のもとに来ることになったのでしょうか。
クリス:
私は長いこと子供は欲しくなく、いつか欲しいなって思っていたぐらいでした。ある日、グレンにそのいつかは今日になると言われました。マルコムは今10歳で10年前はゲイカップルが子供を養子に貰える場所はアメリカにもあまりありませんでした。私たちはどのオプションが一番いいか探していると孤児院とエイジェンシーがありました。エイジェンシーの方が多く、中でも安心できるところが見つかりました。エイジェンシーは子どもを育てることができない女性を見つける活動をしていました。そして私達はかなり早い段階で近くに住んでいた妊娠中の女性に会い、彼女は自分たちの事を気にいってくれました。彼女にとって一番の懸念は生まれてくる子供にとって、我々が一番の家庭を作ってくれるかという部分でした。女性に会ってから数カ月でマルコムは産まれました。私は当時選挙関係の仕事をしていましたが、マルコムは選挙当日の二日前に生まれたので大変でした。グレンが病院に駆けつけて、病院に許可されてすぐ家に連れて帰りました。私たちの養子縁組体験はあまり典型的なものではなく、ゲイカップルだけで無く、他の人と比べてもかなりかかった期間も短いと言えます。運命的なところもあったのだと思います。
グレン:
それに付け足すと、大きな括りでは国内・国際の養子縁組があり、その内国内の養子縁組ではエイジェンシーを使うか行政機関から子供を受け入れるか二つの選択肢がありました。行政からの子供は親が刑務所に入っている・薬物依存者である・子供を虐待している関係で子供を養子縁組に出すシステムです。マルコムの生みの母親はある男に出会い、運命のひとだと思って妊娠をしたけれどうまくいかず、既に子供が4人いたので5人目を育てることは出来ませんでした。私達は子どもを引き取るにあたり、二種類の申し込みをしました。一つ目はゲイカップルとしての申し込み、2つめは一人親としての物を出しました。日本と違い、アメリカでは結婚しなくても一人の親が子供を養子に貰えるシステムなので、養子に対する文化が違います。
-なるほど、日本ではまだまだ養子縁組についての条件も厳しく、いわゆる普通の男女の夫婦であっても、ハードルが高いと聞きます。お話を聞いているとアメリカでは「子供のための」養子縁組システムが進んでいるようですね。
(続く)
全米アジア・太平洋諸国クィア連盟 (NQAPIA) インタビュー その1
6月に入りいよいよ梅雨本番という今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
今回の記事は海外の LGBTQ 団体、
「全米アジア・太平洋諸国クィア連盟 (NQAPIA) 」の方々にインタビューをした時のものです。
お話を聞いたのは、同団体の事務局長で、同性婚をされてお子様がいる
グレンさん、パートナーのクリスさん、ご子息マルコム君
ご子息がFtMで、PFLAG (米国 LGBT 当事者と親とアライの団体)ナショナル理事である、マーシャ・アイズミさん
同性婚したレズビアンの母親で、PFLAG(NYC)コミュニティアウトリーチ担当である矢部文さん
以上の 5 名です。
-まずは団体について。
全米アジア・太平洋諸国クィア連盟(NQAPIA)とはどういった団体なのでしょうか。
グレン:
NQAPIAは LGBTQ のアジア系アメリカ・東南アジア・太平洋諸国の団体の連合です。
主に3つの活動を行っています。一つ目はローカルな団体が活動できる為のリーダーシップ開発、二つ目は移民の支持、三つ目はLGBTQ家族の可視化となっています。
-なるほど、日本とは又違い、より様々な人種が暮らしているからこそ、
その文化的背景、歴史的背景が影響している部分もあるのですね。
グレン:
日本に来てから気づいたことが一つあります。私たちは世界規模のLGBTQ団体と関わりがありますが、アジアでは同性愛者に対する理解が特に足りないということです。そこには同性愛者だから子育てを出来ないというアジア特有の考えが存在していると思います。
-いわゆる先進国でありながらも、LGBTQの取り組みについては非常に遅れている日本ですが、国際的な繋がりを持ったグレンさんからみても、むしろだからこそ尚更、日本の遅れがはっきりと見えるのでしょう。
同性婚がアメリカで合法化されましたが、良かったところ、新たに出てきた問題などはありますか。
グレン:
良かったことの一つは権利です。アメリカでは 1562 もの結婚をしている者に対して有利に働く法律が存在します。これを得ることが出来たのは良いですが、結婚式をするにしても誰が参加してくれるのかについて悩むことはまだあります。結婚というのは法律的な権利、保護、家族からの祝福、先祖との繋がり等の多くの面があり、家族に認められなければ本人にとって大きなしこりとなるでしょう。
-確かに法律が成立しても、人の考え方、感じ方がすぐには変わりません。
権利を得ることで、できること、守られることが増えるのも確かですが周りの人との関わりは、又法律とは別の話なのですね。
(続く)
アジア太平洋レインボーフォーラムに参加しました。
こんにちは。
先日香港で開催されたアジア太平洋レインボーフォーラムに参加しました。
オーストラリア、香港、中国、台湾、日本、フィリピン、タイ、フィジーそれぞれの国のレインボー家族の事情を法律的、社会的な角度から意見交換、共有をしました。
主な参加者はLGBTQで子供がいる人と、これから家族を始めたいと思っている人。
日本からはすでにお子さんがいる「にじいろ家族」のメンバーがそれぞれの経験をシェアしました。
既に子供がいる人も家族の授かり方はそれぞれ。
自分で妊娠して産んだ方、産もうと思ったけど授からず、パートナーの子供を育てている方、代理出産で子供を得た人、養子縁組をした人。
国の法律や環境によって、海外に行った方、そうでない方、カミングアウトをしている人、していない人。
それぞれの環境や意思を尊重しあい、又同じ「レインボーファミリー」である絆を感じるフォーラムとなりました。
何よりも印象的なのは、子どもの話をするときは、誰もが「親」の顔であること。
それは、血のつながり以上の愛情で結ばれているからだということを改めて思いました。
わが子を守るため、わが子と家族の未来を守るため、ここにきて、国際交流を通じて経験や情報を共有したり、環境の違いを認識したり、日常の中の切なさを希望に変えたり。
一人ではないこと、世界にレインボーファミリーがいるという認識が、日々生きていく力になるのだと実感しました。
any seaの創立の想い、
『どんな立場の海でも、陸を渡りまた海として繋がっている。見ようとしなければ出会えない海もある。自分にとって大切な何かを共有できる出会いは、ときに人生を動かし、素晴らしい縁にきっとなる』
非常につながるものを感じました。
すでに24歳になった子供がいるかたにインタビューをする機会もありましたので、少しずつ、紹介しますね!